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電磁界の影響で小児白血病

スウェーデンの研究では、電磁界の影響で小児白血病が増えると報告されている(カロリンスカ報告)のではないのですか?

この研究はスウェーデンのカロリンスカ研究所がおこなった疫学研究ですが、この研究を検討した専門家等から以下に示す問題点が指摘されています。

カロリンスカ研究所の疫学研究

研究概要

1960年から1985年の間にスウェーデンにおいて電圧が22〜40万Vの送電線(こう長約15,000km)の周辺に住んだことがある約43万7千人を対象に調査を行いました。

研究結果

小児について白血病と磁界計算値の弱い関連性が見られましたが、磁界実測値との間では関連性が認められませんでした。
小児について全ガン(全てのガンの合計)・脳腫瘍との関連性が見られませんでした。
成人については全ての項目について関連性が見られませんでした。

下矢印

専門家が指摘する問題点

  • 小児白血病に対する磁界実測値での検討結果では関連性が認められない。
  • 一軒家の調査では関連性が認められたとしているが、アパートでは認められない。
  • 症例数が少ない。(当該の小児白血病症例数は7件)

疫学研究とは

疫学研究とは人の病気の発生とその原因との関係を、統計的に研究するものです。

病気とその原因の因果関係を証明するには、通常、疫学研究だけでは不十分であり、生物学上の研究により発症メカニズムとの関係を明らかにすることが必要とされています。

つまり、疫学研究の後に続く各種の動物実験や生物学実験により病気の要因と病気発症メカニズムの関連性が証明され、はじめて因果関係が明らかにされたといえます。

疫学研究とはの解説図

動物、生物学実験に対する米国科学アカデミーの評価

(1) 動物実験

50ヘルツ、60ヘルツの電磁界をあびさせた動物実験では、動物のガンを引き起こすといった悪影響を示す証拠はない。

(2) 生物学実験

居住環境の電磁界レベルによる細胞、組織への影響に関する研究では、再現性のある重要な影響は生じていない。実際に細胞が50ヘルツ、60ヘルツの電磁界で反応を示すのは、居住環境の電磁界レベルの千倍〜十万倍強いレベルに限られ、その変化も健康への悪影響の可能性を明確に示すものではない。