原子力規制検査結果について「玄海原子力発電所3号機 加圧器安全弁取り外し作業時における一次系の放射性物質を含む水の飛散に係る放射線防護上の不備」
発生日
2025年2月19日
発電所
九州電力 玄海原子力発電所 3号機(加圧水型軽水炉、定格電気出力118万kW)
内容
事象
2025年2月19日の原子力規制委員会において、令和6年度第3四半期の原子力規制検査結果が報告され、次のことについて、安全重要度「緑」、深刻度の評価「SLⅣ(通知なし)」(注1)と判断されました。
概要
2023年11月13日、定期検査中の玄海原子力発電所3号機において、加圧器安全弁3台の点検のため、加圧器の上部配管の水抜きを行い、安全弁の取り外し作業を実施しました。配管の水抜きのため窒素で加圧していましたが、加圧された状態で安全弁の取り外しを実施したため、3台のうち1台の安全弁の取り外しの際に、配管内に残った放射性物質を含んだ水が飛散し、作業員に付着しました。
飛散後、安全弁取り外し作業の中断が指示されましたが、現場の作業員は、水が飛散した安全弁の作業だけを中断する指示と思い込み、加圧操作が停止されていない状態のまま、他の2台の別作業を実施したため、これら2台からも配管内に残った水が飛散し、作業員に付着しました。
飛散した水は予め作業のために設置したビニール養生の範囲内に留まっており、作業員及び作業エリアの放射性物質の除染を実施するとともに、作業員に放射性物質による影響がないことを確認しています。
本事象について、放射性物質を含む水が飛散した際に、高いレベルの汚染の可能性がある場合、特別な措置(標識を設けて他の場所と区別することや施錠等の実施)を講じる必要があります。また、作業を行う場合は、作業による線量及び作業環境に応じた放射線防護上の措置を行う必要がありますが、「1回目の飛散後、放射線防護上の措置の立案・承認が行われないまま作業が再開された」との指摘を受けました。
本事象を踏まえ、水の飛散等が発生した場合は作業を中断し、状況に応じた放射線防護上の措置を確実におこなった上で、作業を再開するよう手順書を明確化しました。また、安全弁取外し前に窒素加圧を確実に停止すること及び安全弁取外し時は、開放箇所にもビニール養生するよう作業手順書を見直しました。
(注1) 安全重要度「緑」とは、検査指摘事項が、安全確保の機能又は性能への影響があるが限定的かつ極めて小さなものであり、事業者の改善措置活動により改善が見込める水準であるという評価結果をいう。
SL(Severity Level)は、検査指摘事項に対して、原子力規制庁が必要に応じて講じる規制対応措置(原子炉等規制法に基づく措置命令、行政指導など)を決定するために、原子力安全に係る重要度評価とは別に評価される深刻度レベルであり、SLⅣ(通知なし)は最も深刻度が低く、原子力規制庁による規制対応措置が不要なもの。
以上