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玄海原子力発電所3号機主蒸気系統の圧力計の点検に伴う運転上の制限の逸脱について

発生日

2025年6月28日

発電所

九州電力 玄海原子力発電所 3号機(加圧水型軽水炉、定格電気出力118万kW)

内容

事象

第18回定期検査中の玄海原子力発電所3号機において、調整運転をしていたところ、2025年6月28日、主蒸気系統の圧力を計測している計器の1つの指示値が正しい値を示していないことを確認しました。その後、当該計器の点検を実施することとしたため、保安規定に定める運転上の制限の逸脱を判断しました。
点検において、当該計器が不具合により圧力を正しく計測できていないことを確認したため、予備の計器に取り替えを行い、正常に圧力が計測されていることを確認し、6月29日に保安規定に定める運転上の制限の逸脱から復帰しました。

原因

不具合のあった計器については、詳細点検を実施し、原因を以下の通りと推定しました。主蒸気圧力計は、主蒸気配管内の圧力(高圧側)と大気圧力(低圧側)の差圧を検知することで圧力値を計測しています。
この事象は、今回の定期検査で取替えた当該圧力計のセンサ溶接部に極微細なリークパス(漏れの経路)が生じ、高圧側の封入液が低圧側に漏れた結果、センサ部に正しい圧力が伝えられなくなったことが、指示値異常の原因と推定しました。
なお、計器の製造段階では、溶接部にごく微細な空孔や割れが生じることがあり、これが、計器取替え後の起動操作等における圧力変動の繰り返しによって偶発的に連結したものと推定しました。

対策

原因を踏まえ、以下の対策を実施することとしました。

  1. 万が一同様の事象が発生した場合にも速やかに取替えが行えるよう、予備品を確保します。
  2. 同様の事象が発生する可能性を低減させるために、保安規定に係る安全上重要な同構造の計器の取替時には、据付前までに追加で圧力変動を与えたうえで、指示値に異常がないことを確認し、使用します。
  3. 市場における同型式の計器に対して、センサ溶接部の不具合が発生した場合には、その情報を随時提供するようメーカに依頼し、今回の事象との関連性を確認したうえで対応を検討します。

(参考)運転上の制限
保安規定には、原子力発電所の安全機能を確保するために必要な項目を「運転上の制限」として定めており、その制限を逸脱した際の措置についてもあらかじめ定めている。
今回点検した計器が動作可能であることがその項目に含まれるため、点検期間中は運転上の制限からの逸脱となる。