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2.新技術の導入

電子通信システムへの新技術の導入

電力保安用IPネットワークの整備

電力保安用IPネットワークは、高い通信品質と信頼度を有するIPネットワークであり、電力輸送部門の総合制御所システムや配電部門の配電線自動制御システムなどの監視制御システムをはじめ、電力の安定供給に不可欠なシステムを統合的に収容することを目的として整備している。
本店・支店(支社)・主要電気所などをつなぐ電力保安用IPネットワーク(主幹系)は、2006年度~2014年度の間に、計105拠点への導入が完了した。また、2018年度からは、次期系統給電制御所システムの収容に向け500kV変電所等へ拡大するとともに、総合制御所システム及び配電線自動制御システムの更新に併せて、更なる高速・大容量化に対応するため、ネットワークの更新を進めている。
支店(支社)・配電用変電所・ダム等をつなぐ電力保安用IPネットワーク(ローカル系)は、電気所の遠隔監視制御システムやダム総合管理システムなど、高い信頼度が要求されるローカル系のIP伝送ニーズに対応するため、2012年度から構築を進めており2021月末時点で574箇所への整備が完了した。

一般業務用IPネットワークの整備拡大

一般業務用IPネットワークは、パソコンネットワークやテレビ会議システムなどの社内システムを統合的に収容する高品質かつ高速・大容量ネットワークであり、2011年度にネットワークを構築し、パソコン用、テレビ会議用、社内テレビ放送用の各ネットワークの統合化を実施した。
2011年度以降は、グループを挙げた経営の効率化・情報化に向けて、九州電力グループ各社のネットワークと接続し、社内テレビ放送やテレビ会議などの利用環境を整備した。
また、2016年度には、自社設備によるバックアップ回線の整備を実施した。

スマートグリッド共通通信基盤の構築

スマートグリッド共通通信基盤は、九州各地に面的に広がるスマートメーターや将来的な情報伝送ニーズに対応するためのシステムである。
九州電力は、2016年3月から、管内の全地域において、低圧で電気をご使用いただいているお客さまを対象にスマートメーターの導入を進めている(2023年度完了予定)。
山間部や離島が多い九州の地理的特性や、技術面、経済面等を踏まえると、複数の通信方式を適材適所で使い分ける必要がある。このため、スマートメーターの試験導入(20142015年度実施)に併せて、様々な業務システムが、スマートメーターをはじめとする多種多様かつ大量の通信端末と、通信方式等の詳細や差異を意識することなく通信することを可能とするスマートグリッド共通通信基盤を2013年度に開発した。その後、2014年度に実施した公募の結果を踏まえ、2014年度~2015年度に新たな通信方式であるLTE及びPLCに対応した設備を新設し、スマートメーターの本格導入を開始した。
2018年度には、スマートメーターのデータ収集に加えて、電力設備などの各種センサー情報を収集するセンサー情報収集関連システムを構築するとともに、同システムに接続するためのスマートグリッド通信アダプタを開発し、現在導入を進めている。

新たな給電情報伝送システムの導入

給電情報伝送システムは、電力の安定供給に必要不可欠な発変電所の運転情報等を伝送するシステムであり、特に高い通信品質と信頼度が要求されている。
2004年度に導入した給電情報伝送システムは、拠点間の通信ネットワークとしてATM交換機を採用していたが、給電運用の高度化に伴う情報量の増大に加え、IP技術の急速な進展によりATM交換技術が陳腐化していたこと等を踏まえ、新たな給電情報伝送システムを導入した。
導入にあたっては、構築コストやシステム要件、保守運用面等を総合的に評価し、既に構築済みであった電力保安用IPネットワークへ収容することとした。また、給電情報のデータ集配信を一元的に取り扱うデータ集配信装置(DX)も更新し、2016月に運用を開始した。

社内電話システムの更新

社内電話システムは、非常災害時にも途絶えることのない信頼性の高い通信連絡手段として、自営設備として構築・運用している。
従来の社内電話システムは、構成機器の高経年化により、メーカーによる保守対応が困難な状況となったため、2013年度より、新しい社内電話システムへの更新を進めている。更新にあたっては、従来と同等の信頼度・通話品質の維持しつつ、利便性の高いサービス提供を低コストで実現可能な、IP対応型電子交換機を導入している。

通信機動車の導入

通信機動車は衛星通信システムやテレビ会議システムなどの通信機器を搭載した車両である。
東日本大震災以降、九州電力が全社を挙げて取り組んでいる原子力発電所の更なる安全性・信頼性向上に向けては、電子通信システムについても、テレビ会議システムや衛星電話等の多様性を確保した通信連絡設備の配備、有線・無線・衛星回線といった通信方式の異なる通信回線の準備による回線の同時被災リスクの低減を進めている。
原子力災害発生時には、後方支援拠点が設置されるが、同拠点は資機材の供給や支援要員の派遣対応等を実施する重要な拠点であり、本店ほか関係箇所とのリアルタイムな情報共有のため、迅速に通信連絡回線を構築する必要がある。また、突発的な後方支援拠点地の変更にも迅速に対応する必要があることから、2016年4月に通信機動車を開発・導入した。
導入直後の2016月に発生した熊本地震では、通信回線が途絶した阿蘇地区の配電復旧拠点に、出動要請から約5時間程度で通信環境を提供するとともに、復旧拠点の変更にも迅速に対応し、災害復旧に大きく貢献した。