企業情報

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2.燃料事業の強化(2011年~2020年)

豪州ウィーンストーンLNGプロジェクトに係るLNG売買契約及び権益取得契約締結

201116日、当社は、売主であるシェブロン・オーストラリア社、シェブロンTAPL社、アパッチ・ジュリマー社及びクフペック・オーストラリア・ジュリマー社の4社と年間70万トンのLNG売買契約を締結した。
併せて、ウィートストーンLNGプロジェクトの権益取得について、子会社のキュウシュウ・エレクトリック・ウィートストーン社とシェブロンTAPL社との間で、権益取得契約を締結した。これにより、シェブロンTAPL社が保有するガス鉱区権益の1.83%、ガス供給施設、液化施設、港湾施設等及び生産物の1.464%を取得し、年間13万トンのLNGを引取ることとなった。本件は、当社初のLNG権益取得であり、これにより、将来に亘る安定的なLNG調達に寄与することとなった。
20171010日、西豪州北西部沖合のウィートストーン及びイアゴガス田から産出される天然ガスを原料とするLNGの生産を開始した。これにより、ウィートストーンプロジェクトからのLNG引取量は年間83万トンとなった。
201819日には、新大分発電所向けに権益持分LNG約6万トンを初受入れした。

豪州イクシスLNGプロジェクトに係るLNG売買契約及び長期輸送契約締結

201112日、当社は、東京電力、東京ガス、関西電力、大阪ガスとともに、国際石油開発帝石グループ会社と仏トタールグループ会社の共同事業会社であるイクシスLNG社との売買契約を締結した。
本プロジェクトは、西豪州沖合鉱区のイクシスガス・コンデンセート田から産出される天然ガスを豪州北部準州ダーウィンに新たに建設されるプラントで精製・液化・販売するLNGプロジェクトであり、供給開始は2018年度、期間は15年間、契約数量は年間最大30万トンであった。
201316日、イクシスLNGプロジェクトからのLNG輸送を主な目的とした長期輸送契約を、大阪ガスとともに、商船三井と締結することで合意した。イクシスからのLNG調達数量は、当社が30万トン/年、大阪ガスが80万トン/年であり、社合計で標準的なLNG船1隻分の輸送能力に相当し、共同輸送を行うことで、各々が個別に輸送船を手配する場合に比べて効率的かつ経済的なLNG輸送を実現した。
また、本契約により使用する新造LNG船は、従来船比20%以上の燃費低減を実現する新型蒸気タービン機関の採用によりCO2排出量の抑制と輸送コストの低減が図れたほか、硫黄酸化物の排出抑制や海洋生態系への影響軽減など、環境に配慮した設計であった。

米国産石炭の共同調達

当社は関西電力とともに、両社の石炭火力発電所において使用する発電用石炭の共同調達を検討し、20121121日、米国オックスボウ・コール&ペトコーク社との間で、低硫黄・高品質の米国産石炭の売買契約を締結した。
電力2社で共同調達することにより、より大きな引取数量に基づく優位な契約条件の確保に加え、両社間で石炭を相互融通することによる調達柔軟性の確保を図ることが可能となった。

日本ガスとの液化天然ガス(LNG)に関する売買契約書の締結

20151125日、当社は、日本ガスと液化天然ガス(LNG)の売買に関する契約を締結した。
本件は、2016年度から2030年度までの15年間にわたり、当社が海外から調達するLNGの一部を日本ガスに供給するものであり、国内のガス事業者向けに外航LNG船を使って直接LNGを供給する初の事業であった。

LNG調達における東京ガスとの戦略的連携

201712日、当社は東京ガスとともに、発電事業分野及びLNG調達等で両社の信頼関係を積み上げてきたことを受け、エネルギーの安定供給を担う両社のより一層のLNG調達最適化を図る観点から、両社の強みを活かした戦略的連携を進めるための検討を行うことについて合意した。
具体的には、①LNGの調達や輸送面での協力関係を構築し、両社が保有するリソースの弾力運用を行うことにより、より柔軟で機動的な調達やコスト低減を実現すべく検討、②緊急時を含む融通協力の関係深化により、更に供給安定性の向上を図ることについて検討することとし、両社が今回のLNG調達における連携にとどまらず、今後も幅広い分野での協議を進め、双方のお客さまのメリットに繋がるエネルギーの低廉かつ安定的な供給の実現を目指すこととした。

日本郵船とのLNG輸送協力体制構築に関する覚書締結

201729日、当社は日本郵船とともに、両社が積み上げてきたエネルギー輸送における実績と信頼関係を基に、LNG輸送等の協力体制構築に関する覚書を締結した。具体的には、①当社LNGの短期需要発生時における、日本郵船LNG船団余力の有効活用により、当社はLNG輸送における柔軟性向上を図る一方、日本郵船においては効率配船による収益力向上を目指すべく検討、②LNG供給と船舶事業の複合事業(船舶燃料としてLNGを供給等)の共同実施可能性について検討することとした。
なお、当社は、豪州ウィートストーンプロジェクトをはじめとする当社LNGの輸送向けに、2017月から日本郵船保有のLNG船「グレース・バレリア(Grace Barleria)」(総トン数:100,450トン)を傭船した。本船の活用に加えて、本覚書で取り決めた船団の有効活用によりLNG輸送の柔軟性が大幅に向上した。両社は、今後も双方のお客さまのメリットに繋がる分野について幅広く協力体制の構築に努めていくこととしている。

瀬戸内・九州地区における船舶向けLNG燃料供給事業の実施

2020年に開始される船舶の排出ガス規制強化に伴い、重油に比べて大気汚染物質や温室効果ガスの排出を低減できるLNG燃料を使用する船舶の増加が見込まれていることから、2018日、当社は、西部ガス・中国電力・日本郵船とともに、瀬戸内・九州地区における船舶向けの液化天然ガス燃料供給(LNGバンカリング)の事業化に向けた共同検討に関する覚書を締結した。
201915日、北九州港において船舶向けLNGバンカリングの実証実験を実施した。ひびきLNG基地(福岡県北九州市若松区)からタンクローリーでLNG燃料を出荷し、浅野地区岸壁(北九州市小倉北区)に着岸中のLNG燃料タグボートに対し、岸壁に駐車したLNGタンクローリーからLNGを供給するTruck to Ship方式で供給した。瀬戸内・九州地区におけるLNGバンカリングは本件が初めてであったが、今回の実証実験により、LNGバンカリングの実現可能性を確認できたため、今後、本実証実験で得られた知見を踏まえ、同地区におけるLNGバンカリングの早期事業化を目指すこととしている。

「世界初のLNG燃料大型石炭専用船」に関する基本協定書の締結

20191225日、当社は日本郵船・商船三井とともに、世界初のLNG燃料大型石炭専用船隻の長期輸送契約に関する基本協定書を締結した。
本船は、LNGを燃料とする世界初の大型石炭専用船で、日本郵船、商船三井が運航を行い、当社の石炭火力発電所向けに海外から石炭を輸送することとした。LNGは従来の船舶燃料油に比べて、硫黄酸化物(SOx)については約100%、窒素酸化物(NOx)については約80%、二酸化炭素(CO2)については約30%の排出削減を見込めるものであった。
また、LNG燃料については、当社が主に火力発電向けに調達しているLNGを、子会社の北九州エル・エヌ・ジーの陸上出荷設備を通じて本船に供給することとした。
今回の取組みは、世界的な環境規制強化の中で、船舶燃料の低炭素化に向けた有効な手段の一つであり、今後も環境負荷の低いLNGの導入促進を行うことで、低炭素社会の実現に寄与することとしている。