3.福島第一原子力発電所事故以前からの取組み
定格熱出力一定運転
従来の定格電気出力一定運転に比べ、原子炉熱出力を国で定められた定格原子炉熱出力に保ったまま運転する「定格熱出力一定運転」は、海水温度の低い冬場には電気出力の2%程度の増加が見込まれ、CO2の発生量を増やすことなく、効率よく電力の生産を増やすことが可能である。当社においては、発電設備の安全を確保しつつ、2001年度から2002年度にかけて順次運転方式を「定格熱出力一定運転」に変更した。2001年度導入後、2020年度末までの累計設備利用率上昇分は約1.4%であり、発電電力量増加分は約117億kWhとなりCO2削減効果に換算すると約402万t-CO2に相当するものであった。
主要機器更新
玄海原子力発電所1、2号機、川内原子力発電所1、2号機では、主要な機器を更新することで、プラントの信頼性向上に取り組んできた。現在までの主要機器更新の実績は以下のとおり。
更新時期 | 玄海1号機 | 玄海2号機 | 川内1号機 | 川内2号機 |
1996年 | 蒸気発生器 | |||
1999年 | 蒸気タービン | |||
2000年 | 蒸気タービン | |||
2001年 | (注) | (注) | ||
2005年 | 炉内構造体 | 蒸気タービン | ||
2007年 | 主変圧器 所内変圧器 |
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2008年 | 炉内構造体 主変圧器 所内変圧器 |
蒸気発生器 原子炉容器上蓋 |
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2009年 | 原子炉容器上蓋 | |||
2010年 | 蒸気タービン 主変圧器 所内変圧器 |
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2018年 | 蒸気発生器 |
(注)1、2号機を同時に停止し、中央計装盤取替を実施。また、本取替工事により、同時停止及び定期検査期間が長くなること、また、停止に伴う稼働率の低下などを総合的に勘案し、信頼性向上の観点から、以下の大型機器の更新も実施した。
原子炉容器上蓋、復水器細管、蒸気発生器(2号機)、主変圧器(1号機)、所内変圧器(1号機)
高経年化技術対策
玄海原子力発電所1、2号機
1号機は2005年10月に、2号機は2011年3月に運転開始後30年を迎えるにあたり、高経年化技術評価を行い、現状の保全の継続及び長期保守管理方針の適切な実施により、長期間の運転を仮定しても、安全に運転を継続できることを確認し、報告書を国へ提出した。その結果、九州電力の評価は妥当であるとの国の評価が、1号機は2004年3月に、2号機は2010年11月に出された。
川内原子力発電所1、2号機
1号機は2014年7月に、2号機は2015年11月に運転開始後30年を迎えるにあたり、高経年化技術評価を行い、現状の保全の継続及び長期保守管理方針の適切な実施により、長期間の運転を仮定しても、安全に運転を継続できることを確認し、報告書を国へ提出した。その結果、九州電力の評価は妥当であるとの国の評価が、1号機は2015年8月に、2号機は2015年11月に出された。
プルサーマル
我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としている。
当社はこれまで、海外における使用済燃料の再処理を英国及び仏国にておこなっており、そのうち、仏国で回収したプルトニウムを使用して、同国の燃料加工工場にて、MOX燃料(Mixed Oxide Fuel:ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)36体を製造した。
2009年、玄海原子力発電所3号機12回定期検査において、MOX燃料16体を含む193体の燃料を原子炉に装荷し、同年12月、全国初となるプルサーマル運転を開始した。また、2018年には、福島第一原子力発電所事故以降の再稼働時にMOX燃料を16体(合計32体)、次の定期検査で4体(合計36体)を3号機の原子炉に装荷した。
2020年の3号機15回定期検査において、使用済MOX燃料として16体を取り出すとともに、残り20体を原子炉に装荷し、現在、安全にプルサーマル運転を継続中である。