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3.配電系統運用の高度化 

配電系統運用の高度化

配電自動化の高度化

当社では配電系統の信頼性確保、停電発生時の早期送電などを目的に、開閉器遠隔制御化や配電線自動制御システムの導入など、配電自動化を積極的に推進し、現在、集中型配線線自動制御システム(以下、集中型システム)を導入している。
集中型システムの特徴は、支社単位に監視制御サーバ等を集中化し、各配電事業所へは操作端末用PCのみを配置するシンクライアント方式の構成を採用している点であり、この構成により、配電事業所間の広域系統運用が可能となるなど、運用体制の変化にも柔軟に対応できるシステムとなっている。また、ハード構成の集中最適化により初期導入コスト、および保守コストの低減が図られた。
一方、開閉器遠隔制御は、1982年から通信線(メタル)方式による遠隔制御を開始し、1997年からは配電系統の電圧・電流などを計測可能なセンサー内蔵開閉器を導入した。さらに2008年以降は、都市圏を中心に急速に拡大している光ネットワークを活用した高速大容量の通信が可能な光遠隔制御システムの導入を進め、センサー内蔵開閉器と組み合わせることで収集可能な波形データの活用など、より高度な系統監視、制御が可能となる環境が整い始めた。

また、太陽光発電の配電系統への連系拡大にともない、適正電圧の維持が困難となることが予想されたため、配電線の電圧対策強化に取り組んだ。
2009年、電圧負荷総合管理システムを全社導入し、配電線に設置したセンサー内蔵開閉器で計測した電圧電流データに基づく計算の実施により、従来よりも実態に近い電圧管理が可能となった。
供給信頼度の向上、再生可能エネルギー導入拡大等に向け、センサー内蔵開閉器の導入拡大、光ネットワークの活用による配電系統運用の高度化への取組みを進めている。

配電線自動制御システムの進展

現行の集中型システムは、導入から10年以上が経過しており不具合発生リスクの高まりへの対応や新たな機能追加が困難であることから、2019年から広域型配電線自動制御システム(以下、広域型システム)への更新を開始することとした。
広域型システムの主な特徴は、高信頼性の確保とコスト削減の両立、配電系統運用の高度化である。
現行のシステムは、監視制御サーバA系(常用系)・B系(待機系)を支社毎に計8箇所、C系(待機系:全支社共用)は1箇所の構成であるのに対し、広域型システムは、全支社分のサーバA・B・C系を2拠点に集中設置の構成とした。これにより、拠点建屋が被災しA・B両系サーバが停止した場合においても、他拠点に設置したサーバC系により系統運用の継続が可能となり、信頼性が向上した。
また、2拠点化に伴いメンテナンス費用やサーバ関連機器の削減により、システム全体のコストを削減した。
加えて、配電系統運用業務の更なる効率化・高度化に向け、上位系統(配電系統より高電圧)を運用する総合制御所システムとデータベースを共有化し、配電線遮断器(CB)の制御や上位系統情報を活用した機能高度化(上位系統が異なる配電線同士の融通計算等)等、業務効率化・高度化機能を開発中であり、今後の配電系統運用を中長期的に支えるシステムとなる。

配電線自動制御システムの進展のイメージ


再生可能エネルギー導入拡大に向けた取組み

2012年月に再生可能エネルギー(以下、再エネ)の固定価格買取制度が始まった。九州は日射量が豊富で積雪が少ないなど太陽光発電(以下、PV)に適した地域であることを背景に、PVが急速に導入拡大しており、PV出力が電力需要を上回ることで配電線から変電所への電流の逆流が発生している配電線もある。
そのため、配電系統の電圧管理のために設置してあるセンサー内蔵開閉器や高圧自動電圧調整器(SVR)(注1)に対して、PVによる逆流にも対応可能な改善を施し、系統電圧適正化に向けた対応をおこなっている。
今後は、光ネットワークを用いた電圧管理の高度化を進めて行く。

(注1)高圧自動電圧調整器(SVR)
距離の長い高圧配電線の途中になどに設置し、電圧の低下や変動を防ぐ装置のこと。多段タップ付単巻変圧器で自動的に昇降圧を行うことができる。

非常災害時の早期停電復旧に向けた取組み

従来、非常災害での停電発生時は、設備被害・復旧情報等を、紙面に手書きで記載・更新し、状況を総括的に把握のうえ復旧方法を計画してきた。
しかし、配電系統や停電情報、被害や復旧状況等の更新が手作業であること、他所(本店・支社、他部門等)とのリアルタイムの情報共有が困難であることなど、運用面で課題があった。
そのため、配電線自動制御システムが保有する配電系統や停電情報、配電非常災害対応システムが保有する被害・復旧情報等をディスプレイ上に組み合わせて表示し、他所とリアルタイムで情報を共有できる復旧状況管理システムを導入し、更なる非常災害の早期復旧を目指している。

配電非常災害対応システム等のシステム構成のイメージ