企業情報

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1.再生可能エネルギーの開発

概要

九電グループの再生可能エネルギー開発量

九電グループは低炭素で持続可能な社会の実現に向けて、「九電グループ経営ビジョン2030」で掲げた2030年の再生可能エネルギー開発量(500万kW)の目標達成に向け、九州域内に限らず、国内他地域・海外でもグループ大で開発に取り組んでおり、2023年3月末時点で開発量は約261万kWに達している。再エネ5電源(地熱・水力・太陽光・バイオマス・風力)全ての開発・運営を一貫体制でおこなっており、今後も九電グループの強みの1つである地熱発電や水力発電の開発・更新に加え、洋上風力発電やバイオマス発電等の開発にも積極的に取り組んでいく。

みやざきバイオマスリサイクル設立

九州電力グループ会社の西日本環境エネルギーは、環境にやさしい鶏ふん処理を目指した事業として、2003年5月、鶏ふん発電事業会社みやざきバイオマスリサイクルを設立した。同社は、鶏ふんを燃料とした国内最大級のバイオマス発電所(鶏ふん焼却能力:約13万トン/年間、発電機出力:1万1350kW)を宮崎県川南町に建設し、2005年5月に営業を開始した。同施設は、2006年3月に2005年度バイオマス利活用優良事業として「農林水産省農林振興局長賞」を受賞。
また2006年11月には経済産業省・新エネルギー財団による2006年度第11回新エネ大賞「新エネルギー財団会長賞」を受賞した。
さらに、焼却灰を肥料の原料とするなど地域資源の有効活用が評価され、「2009年度宮崎の『頑張る中小企業』表彰」および「2009年度『資源循環技術・システム表彰 経済産業省産業技術環境局長賞』」を受賞した。

キューデン・エコソル設立

地球環境問題をふまえた太陽光発電ニーズの高まりから、産業・公共部門のお客さま向けに、環境性と経済性を両立する新しいエネルギーサービスを提供することを目的に2009年12月、当社はキューデン・エコソルを設立した。工場、ビルなどのお客さま施設内に太陽光発電設備を設置し、お客さまに発電した電気を提供するオンサイト発電事業のほか、太陽光発電設備の設計、施工、維持管理まで一連の業務をワンストップで実施するシステムインテグレーション事業などの太陽光発電サービスを展開した。

九電みらいエナジー設立

2014年7月、当社は再生可能エネルギーの更なる開発推進を図るため、当社再エネ開発部門並びに、子会社の西日本環境エネルギー、キューデン・エコソルの再エネ事業を集約し、再エネ電源全般の開発を行う「九電みらいエナジー株式会社」を設立した。また、当社子会社の長島ウインドヒル及び串間ウインドヒル、西日本環境エネルギー子会社のみやざきバイオマスリサイクルを九電みらいエナジーの子会社とした。
九電みらいエナジーは、当社との連携のもと、再エネ発電事業を実施するとともに、関連サービスをお客さまに提供し、地域社会からの再エネへの幅広いニーズにワンストップで対応することとしている。また、これまで培ってきたノウハウや人材などの経営資源を有効活用し、グループ大における再エネ開発の中核会社として、九州電力グループの再生可能エネルギー開発目標である2030年度500万kWに向けて取り組んでいる。

地熱発電

八丁原バイナリー発電所の運転開始

八丁原バイナリー発電所(2000kW)は、事業用発電設備では国内初となる地熱バイナリー発電方式を採用し、2004年2月から約2年間の実証試験(機器性能、耐久性、経済性評価)を経て、2006年4月に運転を開始した。
また、2005年2月には、RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用による特別措置法)対象の地熱発電設備として、国内初の認定を受けた。
地熱バイナリー発電とは、熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを有し、地熱蒸気・熱水を熱源として低沸点媒体を加熱・蒸発させ、その媒体蒸気でタービンを駆動、発電する方式であり、従来の発電方式では利用できなかった低温度域の地熱蒸気・熱水での発電が可能となる。八丁原バイナリー発電所では、低沸点媒体としてペンタン(沸点:36度)を用い、八丁原発電所(11万kW)において噴出勢力が低下し不使用となった蒸気井を熱源として利用している。

山川発電所の蒸気設備譲り受け

鹿児島県指宿市にある山川発電所(3万kW)は、九州電力と石油資源開発による地熱発電事業として、1995年3月に営業運転を開始したもので、発電部門を九州電力、蒸気供給部門を九州地熱(石油資源開発の子会社)が担当した。事業用として九州では大岳発電所、八丁原発電所に次いで3番目、全国では7番目に建設された地熱発電所である。
山川発電所は、運転開始当初は90%近い利用率であったが、1997年半ば以降、蒸気生産量の減少にともない出力が低下(約1万8000kW)し、事業性が悪化したことから、2001年に石油資源開発は九州電力に対して事業撤退の申し入れをおこなった。九州電力は、蒸気生産の継続の可能性に関する技術的な検討を行い、既存資産の有効活用、蒸気生産と発電を一元的に管理・運営する一貫体制による効率化などを勘案し、2004年7月に石油資源開発と設備譲渡の基本合意書を締結、2005年2月に九州地熱が所有する蒸気生産設備を譲り受けた。

滝上発電所の定格出力変更

滝上発電所は九州電力と出光大分地熱による地熱発電事業として、発電部門を九州電力、蒸気供給部門を出光大分地熱が担当し、1996年11月に定格出力2万5000kWで営業運転を開始した。
滝上発電所は営業運転開始以降、発電用蒸気の供給源である地熱貯留層が安定しており、平均95.7%と高い利用率を維持してきた。また、当初計画よりも少ない蒸気量で定格出力運転しており、生産される蒸気量に余剰がある状況であった。
この状況を踏まえ、発電設備が10%の出力増加に対し、設計強度を有することと安定して蒸気を確保できるという評価結果を得たことから、負荷試験をおこなって出力増加が可能であることを確認し、2010年6月に滝上発電所の定格出力を2万5000kWから2万7500kWへ変更した。

小規模地熱バイナリー発電設備実証試験

2013年2月、九州電力は川崎重工業と共同で、山川発電所構内に小規模バイナリー発電設備(定格出力:250kW)を設置し、実証試験を開始した。
設置した小規模バイナリー発電設備は、川崎重工業が工場の排熱などの有効活用を目的に開発したグリーンバイナリータービンを採用しており、地熱への適用が可能になれば、地熱資源が賦存する島への適用や、温泉水などの熱の有効活用を図ることが期待される。

鹿児島県指宿市「地熱の恵み」活用プロジェクト

鹿児島県指宿市では、市と民間企業が共同で市の施設内での地熱発電事業を実施して、排熱の農業利用などにより地域産業振興及び雇用創出などを目指す「『地熱の恵み』活用プロジェクト」を計画し、2015年5月、公募により九州電力と地元企業の共同体を発電事業者に選定した。同月、九州電力は、市・地元企業とともに、「指宿市『地熱の恵み』活用プロジェクト」に関する協定を締結、10月には市が地熱資源調査(地表調査)を開始し、2018年度には調査井掘削を計画したものの、一部温泉事業者の理解が得られず、国が助成金交付を見送っており、中断となった。
市は、今後の対応を検討中であり、九州電力は、その結果を踏まえ、発電事業の実施に向けた取組みを進めていくこととしている。

山川バイナリー発電所

当社は、九電みらいエナジーとともに、当社が所有する地熱発電所の山川発電所構内において、地熱バイナリー発電事業の実施を決めた。2016年8月から山川バイナリー発電所の建設に着手、2018年2月23日に営業運転を開始した。本事業は、山川発電所の発電方式では利用できない地熱資源を地熱バイナリー方式により有効活用するものであり、当社が熱供給し、九電みらいエナジーが発電所の建設・運営を行うものである。本発電所の発電出力は、4,990kWであり、当時の地熱バイナリー発電では国内最大級であった。また、今後の地熱発電拡大が期待できる取組みであると評価され、2018年度の「新エネルギー財団会長賞」を受賞した。

大岳発電所の更新工事

大岳発電所は1967年、国内初の事業用地熱発電所として、営業運転を開始し、地域の皆さまのご協力のもとに安定運転を続けてきたが、発電設備の高経年化と国産エネルギーの有効活用継続のため、2018年4月に更新工事に着手し、2020年10月に営業運転を開始した。更新工事では、既設発電所を運転しながら、隣接地に新たな設備を建設するビルド&スクラップ方式を採用し、発電停止期間の短縮に努め、旧大岳発電所は2020年6月まで運転をおこなった。また、更新にあたり蒸気井と還元井は既設の設備を継続して使用しており、地下から取り出す蒸気や熱水の量は変わらないが、熱水を減圧して更に蒸気を取り出す「ダブルフラッシュ方式」の採用により出力の増加(12,500kW⇒14,500kW)と地熱資源の有効活用を図っている。

霧島烏帽子岳地点における地熱資源調査

九州電力は、新規地熱開発の候補地域として、1992年度から霧島烏帽子岳地域(鹿児島県霧島市)において地熱開発調査を開始し、11年度には調査井の噴出に成功し、地熱資源の存在を確認した。
この結果により、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する地熱開発促進調査地点に選定され(2001~2004年度)、NEDOの調査結果では最大1万5000kWの開発が可能と評価がなされた。
NEDOの地熱開発促進調査終了後、九州電力が調査結果を引き継ぎ、資源量、経済性の詳細評価を行うため、調査を継続していたが、2022年4月14日付けで同市から同意書の交付を受け、地熱発電所建設に向けた準備を開始した。

大分県平治岳北部地点における地熱資源調査

2012年3月、国の地熱開発推進に向けた規制緩和により、公園特別地域外からの傾斜掘削等による開発の取扱いが明確になったことや、調査範囲に社有地を有していることから、2013年5月、平治岳北部地点(大分県玖珠郡九重町、由布市、竹田市)において地熱調査を開始した。
また、2015年度からは当該調査範囲内の自然環境への影響が少ない場所にて掘削調査を実施したが、地熱資源の確認には至らなかった。その後、更なる掘削調査について検討を進めていたが、有望と想定した掘削場所周辺には、坊ガツル湿原が広がるなど、自然豊かな環境にあることから、周辺環境に与える影響を考慮し、2019年4月、本地点における地熱調査を終了した。

菅原バイナリー発電所

当社は大分県九重町とともに、町が所有する菅原地区の地熱井の有効活用策を検討し、長期にわたって安定した発電が可能な地熱資源が確認できたこと、噴出による周辺温泉等への影響も認められなかったことから、地熱発電事業の実施を決めた。2013年11月22日、九重町、当社及び子会社の西日本環境エネルギーは、「菅原地区における地熱発電事業に関する基本協定」を締結し、2014年4月から「菅原バイナリー発電所」の建設に着手、2015年6月29日に営業運転を開始した。本事業では、九重町が地熱資源(蒸気・熱水)を提供し、西日本環境エネルギーから業務を引き継いだ九電みらいエナジーが、発電所の建設、運営と地熱資源の管理等を行い、当社が技術支援することとなった。本発電所の発電出力は5,000kWであり、当時の地熱バイナリー発電では国内最大級であった。

熊本県南阿蘇村地点における地熱資源調査

2013年12月、九州電力は三菱商事との間で、熊本県南阿蘇村における地熱資源の調査・開発に関する協定を締結した。両社は、2015年1月に「南阿蘇村地熱資源の活用に関する条例」に基づいて地熱資源調査の申し入れを行い、その後、条例により村内に設置された「阿蘇山西部地域地熱資源活用協議会」の審議を経て、同年5月、調査の実施に関する村の同意書が交付された。このため地下構造を把握するための地表調査及び周辺温泉などのモニタリングを実施し、その結果、地熱資源が期待できる地下構造の存在が推定された。
しかしながら、2016年4月に発生した熊本地震による調査地域の被災に伴い、調査が一時中断するとともに、2017年10月には調査範囲の一部が「重要な文化的景観」(文化財保護法)に指定されたことに伴い調査計画の見直しが必要となった。
今後は調査に必要な法手続きを実施した上で、調査井掘削による地熱資源確認を進めている。

大分県山下池南部地点における地熱資源調査

九州電力は、九州林産・九州高原開発(2019年度から出光興産参画)とともに、大分県由布市と九重町に跨る山下池南部地点における地熱資源調査について検討を進めてきた。九重町へは、「地熱資源の保護及び活用に関する条例」に基づき、調査主体である九州電力が地熱資源調査の申し入れを行い、「九重町地熱発電事業検討委員会」での審議を経て、2017年3月に同町から、同年4月には由布市から、それぞれ調査実施に関する同意書の交付を受けた。
2017年度には、地下構造を把握するための地表調査及び周辺温泉等のモニタリングを実施し、調査の結果、地熱資源が期待できる地下構造の存在が推定されたため、2018年度から調査井掘削による地熱資源確認をおこなっている。今後も、引き続き調査井掘削による地熱資源確認を行い、本地点の地熱資源量の評価を行うこととしている。

大分県涌蓋山東部地点における地熱資源調査

九州電力は、大分県と熊本県の境に位置する「涌蓋山」の東側(大分県九重町)における地熱資源調査について、九重町の「地熱資源の保護及び活用に関する条例」に基づき、申し入れを行い、「九重町地熱発電事業検討委員会」の審議を経て、2017年6月、同町から同意書の交付を受けた。その後、地下構造を把握するための地表調査及び周辺温泉などのモニタリング及び有望なエリアの広がりを確認するための地温測定用の坑井の掘削を実施した。その結果、地熱資源が期待できる地下構造の存在が推定されたため、調査井掘削による地熱資源確認を進めている。

福島県猿倉嶽地点における地熱資源調査

九州電力は、福島県の柳津町(やないづまち)に位置する猿倉嶽周辺において、過去の国の調査結果より、地熱開発に有望な資源が存在する可能性が期待できることから、柳津町をはじめ地元へのご説明を行い、2020年10月から地熱資源調査を開始した。調査の結果、地熱資源が期待できる地下構造が確認された場合は、調査井掘削を進めることとしている。

泉水山北部地域(大分県九重町)における地熱資源調査

九州電力は、大分県九重町(ここのえまち)に位置する「泉水山(せんすいさん)」の北西側において2022年3月4日付けで九重町から同意書の交付を受け、地熱資源調査を開始した。
調査の結果、地熱資源が期待できる地下構造が確認された場合には、調査井掘削による地熱資源確認を進めることとしている。

太陽光発電

メガソーラー大牟田発電所

メガソーラー大牟田発電所は、福岡県大牟田市の旧港発電所跡地に建設した当社初のメガソーラー発電所で、発電出力は1,990kWである。2010年1月から建設に着手、2010年11月に営業運転を開始した。現在は、九電みらいエナジーが運転管理をおこなっている。

大村メガソーラー発電所

大村メガソーラー発電所は、当時のキューデン・エコソル(現在の九電みらいエナジー)が、長崎県大村市の旧大村発電所跡地に建設したメガソーラー発電所であり、発電出力は17,480kWである。2013年3月に第1発電所(3,000kW)の営業運転を開始。その後、第2発電所が2013年5月(10,500kW)、第3発電所が2015年4月(1,990kW)、第4発電所が2016年8月(1,990kW)に営業運転を開始した。

佐世保メガソーラー発電所

佐世保メガソーラー発電所は、当時のキューデン・エコソル(現在の九電みらいエナジー)が、長崎県佐世保市の旧相浦発電所跡地に設置したメガソーラー発電所で、発電出力は10,000kWである。2013年5月から建設に着手、2014年3月に営業運転を開始した。

風力発電・洋上風力発電

野間岬ウィンドパーク発電所

野間岬ウインドパーク発電所は、当社が鹿児島県南さつま市に建設した風力発電所で、発電出力は3,000kWである。
2003年に営業運転を開始し、2019年4月に廃止した。

長島風力発電所

長島風力発電所は、長島ウインドヒル株式会社(当社と九電工の共同出資会社)が、鹿児島県長島町に建設した陸上風力発電所で、発電出力は50,400kW(2,400kW×21基)である。2005年10月から建設に着手、2008年10月1日に営業運転を開始した。
現在は、九電みらいエナジーの子会社となっている。

鷲尾岳風力発電所

鷲尾岳風力発電所は、西日本プラント工業の子会社である鷲尾岳風力発電株式会社が、長崎県佐世保市北部に建設した陸上風力発電所で、発電出力は12,000kW(2,000kW×6基)である。2011年3月から建設に着手、2011年12月に営業運転を開始した。

串間風力発電所

串間風力発電所は、串間ウインドヒル株式会社(九電みらいエナジーと九電工の共同出資会社)が宮崎県串間市に建設した陸上風力発電所で、発電出力は64,800kW(2,850kW×23基で64,890kWを超えないように制御)である。2016年9月から建設に着手、2020年10月1日に営業運転を開始した。本発電所は、九州最大の陸上ウィンドファームである。

唐津・鎮西ウィンドファーム

唐津・鎮西ウィンドファームは、九電みらいエナジーが佐賀県唐津市に建設した陸上風力発電所で、発電出力は27,200kW(3,400kW×8基)である。2020年8月から建設に着手、2021年11月に営業運転を開始した。本発電所は、九電みらいエナジー自社開発初となる大型陸上風力発電所である。

響灘洋上風力発電事業

九電みらいエナジー、電源開発、北拓、西部ガス、九電工からなるコンソーシアムは、北九州市が実施した「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業者」の公募において、2017年2月に占用予定者(優先交渉者)として選定された。2017年4月にSPC(特別目的会社)である「ひびきウインドエナジー株式会社」を設置し、洋上風力における発電及び電力販売に係る調査事業を開始。2023年3月より建設工事を開始した。(2025年運開予定)

バイオマス発電

苓北発電所での木質バイオマス混焼

再生可能エネルギーの推進として木質バイオマスの利用は、森林整備や地域活性化などの社会的意義は大きいものの、経済性や安定調達面から、実施に至るものはなかった。2009年度に入り、国が林地残材、間伐材などの未利用森林資源の有効利用を進め、CO2削減、エネルギーセキュリティ、さらには森林整備や地域活性化などのため、国内の林地残材などを混焼する発電への補助事業(2009年度林地残材バイオマス石炭混焼発電実証事業)を創設したことから、九州電力はその補助事業に「苓北発電所木質バイオマス石炭混焼発電実証事業」を申請し、2009年1030日に採択された。これによって、石炭を燃料とする苓北発電所での木質バイオマス混焼を実施することとなった。
九州電力の石炭火力である苓北発電所で木質バイオマスを混焼することは、①再生可能エネルギーを積極的に開発・導入する九州電力の中期経営方針に合致している②国の新たな施策である木質バイオマスへの補助事業を通じ、森林整備や地域活性化などに協力するとともに、森林が整備されることで、九州電力としても山の保水力向上、ダム流木や堆砂の減少などの水源涵養機能向上などによるメリットがある③九州電力のCO2削減へつながり、石炭火力の環境負荷低減に向けた取組みとなる、という三つの開発意義があった。
2010年度に、木質バイオマスの混焼実証事業として、苓北発電所に受入ホッパ、受入コンベア、貯蔵サイロ、払出コンベアなどの混焼用設備を新たに設置した。同年度末から、森林組合などが集荷、チップ化し、苓北発電所まで輸送してきた林地残材を由来とする木質バイオマスを受け入れ、既設設備に対する適用性、木質バイオマス燃料調達における経済性や輸送面を含む調達安定性などの評価を実施した。なお、2015年度以降も木質バイオマス混焼運用を継続している。

七ツ島バイオマス発電所

七ツ島バイオマス発電所は、七ツ島バイオマスパワー合同会社(九電みらいエナジー、IHI他8社が共同出資)が鹿児島県鹿児島市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は、49,000kWである。2017年1月から建設に着手、2019年5月に営業運転を開始した。本発電所は、パーム椰子殻(PKS)、木質ペレット国内間伐材を燃料に用いている。

豊前バイオマス発電所

豊前バイオマス発電所は、豊前ニューエナジー合同会社(九電みらいエナジー、イーレックス、九電工が共同出資)が福岡県豊前市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は74,950kWである。2017年12月から建設に着手、2020年1月に営業運転を開始した。本発電所は、パーム椰子殻(PKS)、木質ペレットを燃料に用いた国内最大級の木質バイオマス発電所である。イーレックスがバイオマス燃料の調達・供給を担い、九電みらいエナジーが発電所への技術的サポートを行うことで、各社の強みを活かした安定的な事業運営をおこなっている。

ふくおか木質バイオマス発電所

ふくおか木質バイオマス発電所は、九電みらいエナジーが福岡県朝倉郡筑前町に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は5,700kWである。2018年7月から建設に着手、2020年5月に営業運転を開始した。本発電所は、福岡県初となる国内材を専焼する木質バイオマス発電である。間伐材などの未利用木材を有効活用し、林業関係者等で組織する「ふくおか木質バイオマス木材安定供給協議会」が木材を供給、九電みらいエナジーと中山ホールディングスが共同で設立した「グリーンパークN&M」が木質チップを製造、九電みらいエナジーが発電所の運営をおこなっている。

ソヤノウッドパワー発電所

ソヤノウッドパワー発電所は、ソヤノウッドパワー株式会社(九電みらいエナジー、征矢野(そやの)建材他4社が共同出資)が長野県塩尻市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は14,500kWである。2018年12月から建設に着手、2020年10月に営業運転を開始した。本発電所は、これまで山林に残置されてきた間伐材等の未利用材や木材加工施設から発生する製材端材を燃料として有効利用する。木質バイオマス発電所としては長野県内最大規模となる。

苅田バイオマス発電所

苅田バイオマス発電所は、苅田バイオマスエナジー株式会社(九電みらいエナジー、レノバ他3社が共同出資)が、福岡県京都郡苅田町に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は約75,000kWである。2019年1月から建設に着手、2021年6月に営業運転を開始した。本発電所は、木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)及び国内未利用材を燃料に用いた国内最大級の木質バイオマス発電所である。

中城(なかぐすく)バイオマス発電所

中城(なかぐすく)バイオマス発電所は、沖縄うるまニューエナジー株式会社(九電みらいエナジー、イーレックス他9社が共同出資)が、沖縄県うるま市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は49,000kWである。2019年6月から建設に着手、2021年7月に営業運転を開始した。本発電所は、パーム椰子殻(PKS)、木質ペレットを燃料に用いた沖縄県最大の木質バイオマス発電所である。

大分バイオマス発電所

大分バイオマス発電所は、大分バイオマスエナジー合同会社(九電みらいエナジー、タカフジ他2社が共同出資)が大分県大分市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は22,000kWである。2019年7月から建設に着手、2021年7月に営業運転を開始した。本発電所は、インドネシアのパーム椰子殻(PKS)、国産木質チップを燃料に用いている。

下関バイオマス発電所

下関バイオマス発電所は、下関バイオマスエナジー合同会社(九電みらいエナジー、西日本プラント工業、九電産業が共同出資)が、山口県下関市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は74,980kWである。2019年6月から建設に着手、2022年2月に営業運転を開始した。本発電所は、木質ペレットを燃料に用いた国内最大級の木質バイオマス発電所であり、九電みらいエナジーが発電所の運営全般、西日本プラント工業が設備の建設・保守、九電産業が運転を担当する等、九電グループが調査・建設、運転・管理まで一貫して進める初めての大型バイオマス発電事業である。

石狩新港バイオマス発電所

石狩新港バイオマス発電所は、石狩バイオエナジー合同会社(九電みらいエナジー、奥村組他1社が共同出資)が北海道石狩市に建設した木質バイオマス発電所であり、発電出力は51,500kWである。2019年10月から建設に着手、2023年3月に営業運転を開始した。本発電所は、木質ペレット・パーム椰子殻(PKS)を燃料に用いている。

広畑バイオマス発電所

広畑バイオマス発電所は、広畑バイオマス発電株式会社(九電みらいエナジー、ガスアンドパワー(大阪ガスの子会社)と共同出資)が、兵庫県姫路市に建設予定の木質バイオマス発電所であり、発電出力は約75,000kWである。2021年6月から建設に着手、2023年8月に営業運転を開始予定である。本発電所は、木質チップ、パーム椰子殻(PKS)を燃料とした国内最大規模の木質バイオマス発電所である。

田原グリーンバイオマス発電所

田原グリーンバイオマス発電所は、田原グリーンバイオマス合同会社(伊藤忠商事、九電みらいエナジー、東急不動産が共同出資)が愛知県田原市に建設予定の木質バイオマス発電所であり、発電出力は約50.000kWである。2022年11月から建設に着手、2025年4月に営業運転を開始予定である。本発電所は、木質ペレットを燃料に用いる。