企業情報

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1.労務

勤務制度

柔軟で多様な働き方の展開

九州電力では、ワーク・ライフ・バランスの向上や業務の繁閑に応じた効率的な働き方を推進するため、1994年4月に本店においてフレックスタイム制を試行導入(1998年4月から本格導入)以降、適用職場を拡大し、現在は三交替勤務や当直実施職場を除くほぼ全ての職場に導入している。
一方、フレックスタイム制適用外の職場においては、2007年4月に、休日を家族とともに過ごす時間を確保することを目的に、単身赴任者を対象とした時差出勤制度を導入(2008年4月本格実施)、2020年7月にはワーク・ライフ・バランスの更なる充実と従業員の労働生産性向上等を目的に「ワーク・ライフ・バランス時差出勤」に改変し、対象者の拡大及び適用制限の見直しをおこなった。
また、仕事と家庭の両立や個々の事情に応じた働き方を支援することを目的として、「育児・介護短縮勤務者へのフレックスタイム勤務制度」(2009年4月)や「仕事と治療を両立するための疾病・治療フレックスタイム勤務制度」(2019年1月)を導入するとともに、結婚や育児、介護等の自己都合により退職した社員を再雇用する「カムバック制度(通称)」(結婚・育児:201610月、介護:2020年7月)や配偶者が九州外勤務を余儀なくされた場合に休職できる「配偶者転勤同行休職制度」(2018年4月)、育児期の社員がフルタイムで活躍するために保育料等の一部を補助する「育児費用補助金制度」(2019年4月)等を導入し、働きやすい環境整備の充実を図っている。

事業戦略に合わせた多様な雇用制度

派遣社員及びパートタイマー等の従業員については、円滑かつ効率的な業務運営を目的に、産前・産後の特別休暇取得者や育児・介護休職者等が発生した職場、臨時的増加業務が見込まれる職場等において活躍いただいており、2020年4月には、雇用職場における効果的・効率的な制度の活用や労働者自身の多様な働き方の実現に向け、パートタイマー制度を改変し、1日の勤務時間や週の所定労働日数を柔軟に選択できるよう見直しを行うとともに、事業環境の変化や職場・従業員ニーズにより一層迅速かつ柔軟に対応するため、新たな直接雇用区分である「契約社員(一般)」制度を導入した。
また、事業環境の変化に応じて、多様な場で活躍いただく制度の拡充を図っており、高度専門人材や原子力・営業等の分野で活躍いただくために契約社員制度を適宜構築している。

ダイバーシティの推進

女性の活躍推進

経営環境が大きく変化し、お客さまの価値観が多様化するなか、性別や年齢などにとらわれない多様な人材の活躍は、企業の新たな価値創造の原動力となっている。また、少子高齢化がますます深刻化するなか、仕事と家庭を両立させながら、継続的に就業できる職場環境を整備することは、CSRの観点からも企業が果たすべき重要な課題である。
九州電力は、そのような課題に積極的に対応するため2007年7月に女性の活躍に向けて「女性活躍推進グループ」を設置し、取り組みの基本的考え方を、「男女を問わず、意欲と能力に基づき、成長と活躍の機会が与えられ、やりがいを実感できる環境を整備する」(多様な人材の活躍の視点)と定め、「女性のキャリア形成支援(能力発揮機会の拡大)」、「仕事と家庭の両立支援の拡大」、そしてこれらを支える「意識改革、風土の醸成」を3本の柱として、総合的な施策を展開した。更に多様な人材が活躍できる環境づくりを目指し、2012月には女性活躍推進グループを「ダイバーシティ推進グループ」と改め、取組みを発展させた。

女性活躍推進法に基づく対応に関しては、201410月、経団連からの要請を踏まえ「女性管理職登用に関する自主行動計画」を策定した。これは、女性社員の育成段階に応じたキャリア形成セミナーの開催や長期的キャリア形成の観点からの業務付与・異動・配置の実施などにより、2018年度までの年間(2014年~2018年度)で女性管理職の新規登用数を過去年間(2009年~2013年度)の倍にすることを目指したもので、2015月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が施行されたことを受け、自主行動計画をもとに「第一期行動計画」を策定した。この結果、第一期行動計画期間における女性管理職の新規登用数は2009年~2013年度実績18名の倍を大幅に上回る57名となり、2016月に、女性活躍推進に関する取組みの実施状況などが優良な企業として、厚生労働大臣から「えるぼし」(2段階目)の認定を受けている。
なお、2019月に策定した「第二期行動計画」においては、2023年度までの年間で女性管理職の新規登用数を行動計画導入前(2009年~2013年度)の倍以上、組織の長ポストへの女性の登用数を同じく倍以上とすることを掲げた上で、女性の「仕事を通じた成長」支援や組織をリードする女性の育成登用、男女がともに仕事と家庭を両立していくための更なる環境整備といった取組みを進めている。

高年齢者の活躍推進

少子高齢化の急速な進展を背景とした厚生年金支給開始年齢の引き上げや高年齢者雇用安定法の改正など、高年齢層を取り巻く環境は大きく変化しており、長年にわたり培ってきた知識と経験を有し、高い就労意欲を持つ人材が社会の支え手として活躍し続けることのできる社会が求められるようになった。
こうしたなか、九州電力においても退職した社員に、長年培ってきた知識や能力をより一層発揮できる活躍の場を提供するため、2007年度から「シニア社員制度」を導入していたが、今後急増する60歳以上の従業員に「豊富な経験や高度な知識・スキルを有する貴重な人材」として、意欲を持ってより一層活躍していただくことを目的として、2015年度より従来のシニア社員制度を廃止し「キャリア社員制度」を新設した。
キャリア社員制度では、社員と同様の普通勤務(フルタイム)を原則とし、本人の健康・体力面や家族の介護などの事由に限り、短縮勤務(日数短縮型・時間短縮型)を認めることとした。
業務内容については、業務のレベルに応じて、通常・専門・高度の3区分を設定し、専門・高度業務の従事者の選考については、本人の有する知識・スキル、資格などを踏まえて会社が決定することとした。

障がい者雇用の推進

障がい者雇用に関する法整備が進む中、当社はこれまで、障がい者雇用を社会的責任と考え、障がいのある方も、地域・社会の中で活躍することができる環境づくりに貢献するため、新卒採用、パートタイマー雇用などにより、障がい者の雇用を推進してきた。
2004年には、障がい者の雇用に特別の配慮をした特例子会社として、放送用の字幕制作事業を行う九州字幕放送共同制作センター(現Q-CAP)を設立し、当社本体での障がい者雇用に加え、当該会社での雇用を推進し、障がい者に働きやすい環境を提供し、障がい者の職域拡大に努めてきた。
近年、「障がい者の雇用の促進等に関する法律」が改正され、法定雇用率が引き上げられるなど、障がい者雇用への社会的要請の高まりを受け、新卒採用では、「障がい者特別選考」の実施など計画的な採用を進ている。更に2019年には九州字幕放送共同制作センター(現Q-CAP)において、新たに印刷やコピーなどのビジネスサポート事業を開業し、障がい者の更なる職域拡大を図るなど、障がい者雇用を積極的に推進している。

転身支援制度の導入及び特別措置の実施

厳しい経営環境においてもあらゆる面で競争力を持つ「強靭な企業」となるためには、従業員が最大限に能力を発揮することが重要であり、また社会情勢や労働環境の変化にともない、仕事やキャリア形成あるいはライフプランに関する個々人の価値観・ニーズが多様化するなど、働き方に対する意識も大きく変わってきた。
こうした社内外の環境変化をふまえ、社外に活躍の場を見出そうとする社員に対する支援策を充実させるとともに、2006年度末における1万2500人体制を達成するため、2005年度に「転身支援制度」を導入するとともに、2005年度および2006年度に退職時期を限定した「特別措置」を実施した。
「転身支援制度」については、自らの希望により会社を退職して計画的に社外への転身を図る社員に対し、通常の退職金・年金に加え、転身支援金を支給することとした。
また、他社への就職や独立起業を希望する社員に対し、円滑な転職をサポートする再就職支援会社による支援サービスも提供することとした。
一方、「特別措置」については、転身支援金の対象者および支給額を拡大し、退職時期を限定して実施した。
なお、「転身支援制度」の導入にともない、従来の「選択退職制度」は廃止した。

働き方改革の推進

近年、国内で直面している「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働くスタイルの多様化」などの課題・変化に対応するため、労働生産性の向上や従業員満足度向上を実現する環境づくりが求められるようになった。
当社においても、社員が健康で活力を持って仕事に取組める環境づくりや、業務効率化による生産性向上、柔軟でスピーディーな業務運営ができる組織風土への変革を目的として、2017年度から働き方改革に取り組んだ。
働き方改革では、各組織での検討に加え、横断的な取組みとして経営層、中堅層等の各層でワークショップを開催し、時間外労働削減などの自組織内の効率化の取組みや、各所から寄せられた他組織への効率化の提言・要望に対する検討をおこなった。各層のワークショップを通じて多くのメンバーから出た意見を踏まえ、201712月に「仕事のキホン共通ルール」を制定し、時間やコストを意識した仕事の進め方の統一指針を示した。
2018月には、「九電働き方改革フェスタ」を開催し、経営層によるパネルディスカッションや各職場の好事例の発表を行い、働き方に関する自発的な改革意識・風土の醸成や人材育成などにつなげた。
また、生産性向上に向けた取組みとして、2018月、時間や場所にしばられない新たな社内コミュニケーションツールとして「スカイプ」を導入し、ビデオ会議やチャットの利用、不在電話の削減を推進した。2018月には、20時までの原則退社や週1日以上の休日確保について実施するとともに、心身の疲労軽減や健康障害防止を図るため、前日の終業時刻から翌日の始業時刻との間に原則10時間以上の休息を確保する「勤務間インターバル制度」を試行実施し、2020月に本格実施に移行した。このほか、柔軟な働き方を可能とする取組みとして、2018月に一部支社社屋にサテライトオフィスを設置した。
2019年度は会議のスリム化を目指す「スマート会議運動」などに取り組んでいたが、年度後半から新型コロナウィルスの影響により、出社の制限やフィジカルディスタンスの確保など、これまで対面を基本としていた働き方が大きく変化した。
コロナ禍で実施した業務・会議の休廃止やテレワークの積極的活用などの取組みを一過性とせず、恒常的な業務運営として定着させ、生産性向上に繋げていく観点から、2020月「働き方改革第2ステージへ‐コロナ禍の経験を糧に、更なる生産性向上に繋げよう‐」をスローガンに、働き方改革を展開している。

副業など社員のチャレンジを支援する各種制度の導入

2021年5月、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けて、人材面では「エネルギー事業等の知見や技術などの能力の深化」と「新たな事業分野へのチャレンジ」の両面を強化していくことが必要となっていることなどを背景に、社員の主体的なチャレンジや成長を支援するとともに、多様な経験を有する人材が活躍できる環境を整備し、人材と組織の成長・進化を加速することを目的に、各種制度を導入した。
【社員の主体的なチャレンジを支援する制度】① 社外での副業(注)② 社内兼業(他部門業務の兼業)③ 留学等の学び休職
【多様な経験を有する人材を受け入れ、事業運営に活かしていく制度】① 副業・兼業する社外人材の活用(注)② ジョブ・リターン採用(転職等により当社を退職した元社員の再雇用制度)
(注)試行導入として本店職場を対象に実施