玄海原子力発電所のトラブル紹介
私たちは原子力発電の安全対策に最大限の努力をしていますが、残念ながら、これまで国内外の原子力発電所で、事故やトラブルが発生しています。
過去の事故例から学び、そこから原子力発電所の安全性、信頼性を一層向上させる対策に取り組んでいます。ここでは、そのいくつかの事故例とその対策を紹介します。
過去のトラブル一覧
玄海1号機
- 昭和54年3月21日
定期検査中、制御棒クラスタ案内管たわみピンの損傷を発見。[対策:ピン交換及びカバー形状の変更] - 昭和54年12月3日
定格出力運転中、微小な異物混入による加圧器逃し弁のシート漏れのため原子炉手動停止。[対策:当該弁の主要部品交換] - 昭和58年9月2日
定格出力運転中、落雷による送電線遮断のため、原子炉自動停止。
原子炉停止後の点検において、加圧器逃し弁のシート漏れを発見。[対策:新品部品との交換] - 昭和59年2月20日
定期検査中、燃料集合体シッピング検査の結果、1体に漏えいを発見。[対策:当該燃料交換] - 昭和60年3月27日
定格出力運転中、所内電源母線の電圧低下のため、1次冷却材ポンプの回転数が低下し、1次冷却材流量低下により原子炉自動停止。[対策:所内母線の部品交換] - 昭和60年8月7日
調整運転中、復水器真空度低下。点検、補修のため発電機解列。原子炉運転には支障なし。[対策:復水器周り点検] - 昭和61年10月11日
定期検査中、1次冷却系統の浄化運転を行っていたA余熱除去ポンプに異音が発生。
分解点検の結果、当該ポンプの主軸の折損を発見。[対策:当該主軸の取り替え] - 昭和63年6月6日
定格出力運転中、原子炉格納容器内にある床ドレンサンプへの流入水の増加(余熱除去(A)配管の溶接部からの漏えい)が認められたため、原子炉手動停止。[対策:管理改善及び監視強化] - 昭和63年7月14日
停止中、1次冷却材ポンプ変流翼取り付けボルトの液体浸透探傷検査の結果、ひび割れを発見。[対策:改良ボルトへの交換] - 昭和63年7月14日
停止中、燃料集合体シッピング検査の結果、1体に漏えいを発見。[対策:当該燃料交換] - 平成9年3月15日
定格出力運転中、復水器細管漏えいにより出力降下。[対策:漏えい細管施栓] - 平成11年1月29日
定格出力運転中、1次冷却材ポンプ封水戻りライン流量に漸増傾向が認められたため原子炉手動停止。[対策:シール交換] - 平成11年7月18日
定格出力運転中、復水器細管漏えいにより出力低下。[対策:漏えい細管施栓]
玄海2号機
- 昭和55年7月14日
試運転中、復水ポンプのインペラとケーシング損傷。[対策:ケーシング改造] - 昭和56年3月11日
試運転中、2次側給水制御弁の弁開度調整装置の不調のため、原子炉自動停止。[対策:新品部品との交換] - 昭和57年4月10日
調整運転中、所内変圧器の比率作動検出回路の接触不良のため、原子炉自動停止。[対策:比率作動継電器タップ栓増し締め] - 昭和62年2月7日
定期検査中、燃料集合体のリーフスプリング部1個の損傷を発見。[対策:当該部の材料及び構造の改良] - 昭和63年5月18日
定期検査中、1次冷却材ポンプ変流翼取り付けボルトの液体浸透探傷検査の結果、ひび割れを発見。[対策:改良ボルトへの交換] - 平成1年10月20日
定期検査中、非常用ディーゼル発電機の機能試験において、発電機が自動停止。点検の結果、固定子巻線の渡り線の固定が不十分であったため、運転中の振動により絶縁が劣化し、固定子巻線の一部が焼損。[対策:当該固定子巻線取り替え] - 平成9年9月1日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板拡管部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成10年11月30日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板拡管部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成12年3月31日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板拡管部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成19年1月24日
定期検査中、余剰抽出配管の超音波探傷検査を実施したところ、欠陥を示す有意な指示が認められたことから、詳細調査を実施したところ配管内面にひび割れを発見。[対策:当該配管を取り替え]
玄海3号機
- 平成5年9月24日
試運転中、低圧タービンの軸振動に増加傾向が見られたため、原子炉手動停止。[対策:グランド間隙の適正化] - 平成11年1月20日
定期検査中、燃料集合体シッピング検査の結果、1体に漏えいを発見。[対策:当該燃料の交換] - 平成23年12月16日定期検査中、充てんポンプ主軸折損。[対策:主軸を対策品に取替え等]
玄海4号機
- 平成23年10月4日定格出力運転中、復水器真空低下による原子炉自動停止。[対策:作業による他機器への影響評価を確実に実施する方針や仕組みを明確化]
玄海1号機 旧蒸気発生器関連[平成6年第15回定期検査において取替済]
- 昭和50年6月10日
試運転中、A-蒸気発生器内に残置された鋼製巻尺により伝熱管が損傷、調査のため原子炉手動停止。[対策:当該細管施栓] - 昭和56年8月31日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 昭和57年12月22日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上端部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 昭和59年3月8日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上面直下部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 昭和60年5月23日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上面直下部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 昭和61年9月24日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上面直下部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 昭和62年12月23日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上面直下部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成1年4月27日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管板上面直下部及び支持板部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成2年9月25日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管支持板部及び管板上面直下部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成4年1月10日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管支持板部及び管板上面直下部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓] - 平成5年4月6日
定期検査中、蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査の結果、管支持板部及び管板上面直下部に有意な信号指示を発見。[対策:当該細管施栓]
国内外のトラブル反映の仕組み
事故故障情報検討会議開催風景
国内外で発生した故障・トラブルの情報については、原子力施設情報公開ライブラリー等から入手しています。入手した情報は関係箇所で検討し、類似事象の再発防止を図って、発電所の安全確保に万全を期しています。
具体的には
- 故障・トラブルの情報は、原子力施設情報公開ライブラリー等から入手しています。
- 入手した情報については、関係箇所で検討しています。
- さらに重要な情報については、本店及び発電所で対策の要否・提言事項等の検討をおこなっています。
- 検討した結果については、関係箇所に連絡すると共に、運転・保守手順及び設備の改善等への反映を図っています。
原子力発電所のトラブル評価尺度
トラブルの大きさをみんなが理解できるように原子力発電所でおきたトラブルがどれくらいの大きさなのかを、どこの国の、誰が聞いても同じ目安で知ることができるようにと、世界共通の"ものさし"が平成4年(1992年)3月に国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)により提案されました。これが、国際評価尺度(INES)です。
わが国では、平成4年(1992年)8月から正式に使うようになりました。