プレスリリース

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九州電力株式会社、住友商事株式会社、住友商事九州株式会社のロゴ
2023年10月30日
九州電力株式会社
住友商事株式会社
住友商事九州株式会社

量子技術を活用した人流の最適化により災害時の被害を抑制
-エネルギー分野における量子技術活用を共同検討-

 九州電力株式会社(本店:福岡県福岡市、代表取締役社長執行役員:池辺 和弘、以下「九州電力」)、住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員CEO:兵頭 誠之、以下「住友商事」)、住友商事九州株式会社(本社:福岡県福岡市、取締役社長執行役員 髙橋 和之、以下「住友商事九州」)(以下「3社」)は、将来の量子技術活用の共同検討を開始しました。量子技術は、2040年に世界で約100兆円規模の価値創出が予測されています。活用先として特に期待されている安全・安心なまちづくりや、エネルギー分野などの社会課題を解決するユースケースを日本から生み出すべく、3社で共同検討を進めます。第一弾として、災害発生時にリアルタイムで近隣住民に対して最適な避難経路を計算・提供する方法を検討(以下「本検討」)します。

 近年、自然災害の増加や被害の甚大化に伴い、避難の遅れを防ぐための対策が求められています。九州電力は、自治体や金融機関等と「安全安心なまちづくり」や「活力と魅力のあふれるまちづくり」等に関する包括連携協定を締結し、九州地域が抱える課題の解決や持続可能なまちづくりを推進しています。これらの取り組みの一環として、災害時の地域住民の避難支援を推進しています。

 災害時の避難においては、個々人が避難場所を目指し最短で行動しようとすると、特定の道路に集中し危険な状態になる恐れがあるため、迅速な避難指示と避難経路の誘導が必要です。避難経路には膨大な選択肢があるため、その中から最適な経路を導き出すにあたり、従来型のコンピューターでは計算に多大な時間がかかる点が課題ですが、量子技術は、これら最適化問題の処理(膨大な組み合わせの中から最良の組み合わせを選択)において驚異的なスピードで解を導くことが期待されています(注)。本検討では、住友商事が培ってきた量子技術の知見を活かし、地域住民の最適な避難経路計算に量子技術を適用することを検討します。まずは、要件を定めた上でアルゴリズムを構築し、データの精度向上等を通じて実用化を目指します。将来的には実証試験を行い、アプリ等を通じて、地域住民がリアルタイムの位置情報や道路通行情報などを反映した最適な避難経路を把握できる社会を実現し、道路混雑などによる避難の遅れを防ぐことで被害の抑制に役立てます。

 3社は、本検討を通じて、地域の社会課題を解決し、安全・安心なまちづくりに貢献します。さらに今後は、電力市場における需要予測や、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの出力予測への量子技術の活用も検討していきます。量子技術の社会実装活動をさらに加速させ、デジタルの力を活用した社会課題解決に取り組みます。

(注)量子コンピューターには、用途が限定されるアニーリング型と、より汎用的に使えるゲート型があり、まずはアニーリング型に代表される組み合わせ最適化の取り組みから始めます。将来的にはゲート型も含め、量子コンピューターの優位性が期待される計算(量子化学計算による高精度な分子のエネルギー計算、量子AIによる需要/価格予測など)に取り組みを拡大していきます。

<参考資料>
■量子技術とは

Quantum transformation : What is Quantum Computer? - YouTube別ウィンドウ

■九州電力における地域社会への貢献について
2018年以降、九州電力は、自治体や金融機関等と「安全安心なまちづくり」や「活力と魅力のあふれるまちづくり」等に関する包括連携協定を締結し、各地域が抱える課題の解決や持続可能なまちづくりを推進しています。具体的には、九電グループの経営資源や商品・サービスを活用し、災害時の早期復旧のための体制整備や避難所に必要な設備・備蓄品等の機能強化、地域の観光資源を活用した産業振興、住民の学びやコミュニケーション機会の創出等に取り組んでいます。2023年3月現在、56の自治体や金融機関等と地域課題の解決やまちづくりに関する包括連携協定を締結しており、協定を通じ、九州地域の社会的課題の解決、持続可能な発展に貢献していくこととしています。

■住友商事における量子技術の活用について
住友商事は、量子技術による社会変革のリーディングカンパニーを目指し、さまざまな取り組みを進めています。2020年6月には、通販物流事業を行うグループ会社の株式会社ベルメゾンロジスコにて、量子コンピューティングを用いた人材配置最適化実証を行い、2021年にはQuantum Transformationの推進を目指す専門プロジェクト(QXプロジェクト)を立ち上げ、空飛ぶクルマの行き交う未来社会を見越し、三次元交通管制システムへ量子コンピューティングを活用する世界初の試みを実施しました。さらに、グローバルCVCネットワークを生かして、量子技術の社会実装、産業利活用に役立つ優れた技術を見出し、国内外の産官学のパートナーとともに量子コンピューティング領域の社会実装を推進しています。
QXプロジェクトWEBサイト:https://www.quantumtransformation.world別ウィンドウ

以上