当社環境会計の概要
参考としているガイドライン
企業等による環境会計の導入、実践を支援する目的で環境省より示されている「環境会計ガイドライン 2005年版」(環境省)を参考としています。ただし、環境活動の分類や表形式は、当社における事業活動に応じた独自のものとしています。
対象期間
2012年4月1日~2013年3月31日(事業年度と同一)
集計範囲
九州電力株式会社
算定対象とする活動
事業活動その他の人の活動に伴って環境に加えられる影響であって、環境の良好な状態を維持する上で支障の原因となるおそれのあるもの(環境負荷)の発生の防止、低減又は回避、影響の除去、発生した被害の回復又はこれらに資する取組みを算定の対象としています。
「社内の安全・衛生にかかわる活動(作業場の粉じん対策に係るコストなど)」、「社会的にすでに標準的な活動(標準的な仕様レベルの低騒音変圧器・電動機に係るコストなど)」は、除外しています。
環境活動コスト
環境活動コストの「投資」、「費用」は次のように定義しています。
投資 | 環境保全を目的とした設備投資など資産計上されるものや出資への当該年度の支出 |
費用 |
環境保全を目的とした費用の支出:減価償却費、リース代、修繕費、維持運営費、委託費、人件費など (注)減価償却費は、環境活動設備に対応するものを対象とし、財務会計上の耐用年数や償却方法に準じて算定し、計上しています。 |
また、環境活動コストの算定方法は以下のとおりとしています。
・ | 事業活動により生じるコストにおいて、環境活動コストとそれ以外のコストの識別が可能である場合は、環境活動コストと識別されるコスト全額を計上しています。 | |
・ | 環境保全目的及びそれ以外の目的を併せもつ事業活動により生じるコスト(複合コスト)である場合は、以下の優先順位によりコストを計上しています。 |
(1)差額法による算定 | ||
実際に発生したコストから環境活動コスト以外のコストを控除した差額を計上。 | ||
(2)按分法による算定 | ||
差額集計のために必要となる価額が必ずしも明確でない場合に、コスト全体に占める環境保全目的の割合に応じた按分率を設定して算定した価額を計上。 | ||
(3)複合コスト内における環境保全目的の割合が不明である場合 | ||
コストはゼロとみなす。 |
環境活動コスト算定の考え方
※ | 原子力、水力、地熱の各発電所を運転することによるCO2排出抑制については、コスト全体に占める環境保全目的の割合を特定することが困難であるため、算定の対象外としています。 |
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環境活動効果
環境活動効果は、環境活動による成果として物量単位で算定し、活動の種類によりそれぞれ次のとおり定義しています。
■ | 温室効果ガス・大気汚染物質による環境影響を抑制する活動 |
ベースライン(当該活動において環境保全を全く考慮しない場合の環境負荷量)に対し、環境活動により削減した環境負荷量。 |
環境活動効果の算定の考え方(ベースライン)
CO2、SOx、NOx低減など「温室効果ガス・大気汚染物質による環境影響を抑制する活動」の効果量は、以下のベースラインにおける想定量と当該年度における実際の排出量との差で計上しています。
なお、2005年度から、京都議定書の発効などを踏まえて、設備効率向上のベースラインを1990年度実績基準へ見直しています。
項目 | ベースライン | |
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CO2排出抑制量 | 原子力発電 | 当該電源による電力量を、火力発電(石炭・LNG・石油)で賄ったと仮定した場合 |
水力・地熱発電、 新エネ発電・購入 |
当該電源による電力量を、全電源(CO2排出クレジット反映後)で賄ったと仮定した場合 | |
設備効率向上 |
送配電ロスや火力総合熱効率の改善が行われてこなかったと仮定した場合 (1990年度実績を基準とする。) |
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省エネ活動 |
省エネ機器・設備の導入や低燃費車・クリーンエネルギー車導入を行わず、これに伴う電気・燃料使用量の削減がなされなかったと仮定した場合 (車両については、当該年度の普通車両のCO2排出原単位実績を基準とする。) |
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SF6排出削減 | 点検・撤去時に機器に充填されているSF6の回収を行わなかったと仮定した場合 | |
SOx低減量 | 発電所において脱硫処理や低硫黄燃料の使用を行わなかったと仮定した場合 | |
NOx低減量 | 発電所において脱硝処理を行わなかったと仮定した場合 | |
ばいじん低減量 | 発電所において集じん処理を行わなかったと仮定した場合 |
(注) | 京都メカニズム活用等による環境活動効果は、販売電力量あたりのCO2排出量へのCO2排出クレジット反映量を計上しています。 |
■ | 廃棄物の不適切な処分による環境影響を低減する活動 |
影響低減の対象となる環境負荷物質量。 |
■ | 環境負荷の低減を支援・促進する活動 |
支援・促進に係る活動量。 |
環境活動に伴う経済効果
環境活動による環境負荷物質量の削減(環境活動効果量)により発生した経済的利益とし、貨幣単位で算定しています。
当社では使用済み製品のリサイクルによる有価物の売却収益や火力総合熱効率改善による燃料費節減額など、確実な根拠に基づいて算定される経済効果(実質的効果)のみを算定対象としています。
環境活動コストと効果の関連性