平助筆復古堂(6)
2015年6月11日
-2代続く特別な筆-
前回に続き、室町時代(1501年)創業の、日本で最も歴史の古い筆専門店・平助筆復古堂(福岡市)をご紹介します。

平助筆復古堂には、10代目・河原田明さんが考案し、11代目・浩さんへと継がれている特別な筆があります。
それは、福岡県太宰府市にある太宰府天満宮の梅の枝を筆の軸に使ったものです。

もともと同店では、太宰府天満宮に平助筆を納めていました。しかし、時代とともに筆を求める人が減り、明さんが継いだ頃は、同店と太宰府天満宮のつながりは弱くなっていたそうです。
「このままではいけない」と思った明さんは、太宰府天満宮の御神忌千百年祭を記念した特別な筆に、梅の枝を使うことを提案します。

お土産として人気を集める、梅の枝を使った筆
太宰府天満宮の梅といえば、菅原道真を慕って、都から一夜にして飛んできたと伝えられる御神木。
その梅を剪定した際に出る枝を頂戴した筆は、大変ありがたい特別な筆として人気を集めました。
以来、同店と同神社の関係はかつてのような深まりを取り戻し、宮司に浩さんの仲人をしていただくまでの関係になりました。
また御神忌千百年祭の記念として誕生した筆は、その評判から、毎年、本数限定で扱われることとなり、同店では梅の剪定が終わると、特別な筆をつくるための枝を頂戴に伺っています。


次回は最終回、平助筆復古堂の大切にしている思いについてご紹介します。