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薩摩川内市・丸武産業(1)

2015年1月22日

-全国の鎧兜生産シェア8割を占める秘密-

このコーナーでは、九州を舞台に様々な分野で活躍している人や団体、企業をシリーズ企画でご紹介しています。

今回は、鹿児島県薩摩川内市で、ドラマ、映画などで使用される甲冑などを製造し、業界シェア8割を占めている丸武産業をご紹介します。

直江兼続の甲冑の写真

鹿児島県の薩摩川内市で、昭和33年に創業された丸武産業(創業当時は「丸竹産業」)。当初、釣り竿屋としての出発でした。
それが、なぜ甲冑工房へとなったのか…。
創業者の田ノ上さん(現会長)が趣味の延長として引き受けた甲冑の修理がきっかけでした。

企画営業本部長 平林さんの写真

「先代は大変な骨董好きで、手先も器用だったことから、地元の祭りで使う甲冑の修理などを受けていたそうです。

それが、仕上がりも良いと評判を呼び、少しずつ頼まれる機会が増えていったようで。

先代も、好きなものが仕事になるなら…と、徐々に甲冑の修理や製作の受注量を増やしていって、いつしか甲冑制作の方が主流になりました」と話すのは、企画営業本部長の平林正勝さん。

薩摩川内市には鎧を身につける伝統の祭りが根強く残っており、甲冑への需要が高かったことが、仕事、会社へとつながっていったようです。

丸武産業は、映画やテレビ業界、また骨董品や甲冑に興味がある人の間で有名な、業界で8割のシェアを占める企業。

映画やテレビとは一見縁遠く感じられる鹿児島県の薩摩川内市で、甲冑工房として大きく成長するに至った経緯が気になります。

「うちの甲冑は、ほとんど全てが職人の手作業。先代のこだわり、『当時使用されていた本物に近いものをつくる』との思いから、できる限り本物を見て、忠実に再現することを目指したものづくりをしています。

例えば、本物を一度バラバラにし、構造や仕組み、形状、装飾、一つひとつ丁寧に研究したり。

過去の文献を読んで、時代背景や武将の性格、気質などを理解してものづくりに臨んでいます。

だからこそ、質や造りが良いのはもちろん、映画監督から役者個人まで、それぞれのニーズにあった細やかなものづくりで対応してきました。

先代の売り込みが上手だったのはあるでしょう。

しかし何より、徹底したこだわりと信念によって製作された甲冑の品質の高さが受け入れられ、その結果がパイオニアとしての地位をつくったのだと思います」とのこと。

豊臣秀吉の甲冑の写真

これまで、黒澤明監督の「乱」でこだわりの甲冑1,500領を手作業で仕上げたり、NHKの大河ドラマでも数々の作品を手がけてきたり。

その確かな実績から、発注者の信頼の深さや、満足度の高さがわかります。

「映画やテレビで、自分たちが手がけた甲冑を見るとうれしいですね。

誇らしく思います」と笑顔で平林さんは話してくださいました。

次回、日本の伝統文化や甲冑の素晴らしさを広く伝える取組みなどについてご紹介します。