薩摩川内市・丸武産業(4)
2015年2月12日
-甲冑をより身近なものへ-
シリーズ最終回は、丸武産業の手がけるテーマパークやイベントなどについてご紹介します。
甲冑を通して、「日本の素晴らしい伝統・文化を伝えたい」と願う丸武産業。創業当初からその思いは変わらず、さまざまな試みをおこなっています。

「西郷記念館」のジオラマ

先代・田ノ上忍さん(現会長)のコレクション
薩摩川内市にある本社から車で20分ほどの所に、「川内戦国村」があります。同社が「甲冑の素晴らしさを多くのかたに知ってもらいたい」という思いから、1990年に開園しました。園内には、地元出身の西郷隆盛の遺品や活躍をジオラマで再現した「西郷記念館」、先代の田ノ上忍さん(現会長)が集めた戦国時代の甲冑や西郷隆盛直筆の掛け軸など、歴史的価値の高い資料が200点近く展示された「田ノ上コレクション」、実際の甲冑造りが見学できる「甲冑工房」などがあります。

川内戦国村 小幡支配人
川内戦国村の支配人・小幡兼弘さんは、「最近は、歴女ブームもあって、以前に比べると若い女性の来園も増えましたね。
地元の小学校の遠足や、歴史好きの人などが来園した時には、時代ごとの甲冑の違いを解説したり、甲冑を着るなどの体験もおこなっています。親子でも楽しめる場所ですよ」と話してくださいました。

希少価値の高い甲冑などを展示

当時の薩摩の生活風景をジオラマで再現
平成18年からは、イベントへの協力・参加を積極的におこなっている丸武産業。
企画営業本部長の平林正勝さんは、「これからは甲冑をつくるだけでなく、甲冑を身近なものとして感じて貰える場所や接点づくりが大事だと考えています。
例えば、新郎が甲冑を着る『甲冑ウエディング』や、甲冑を着た時代絵巻を盛り込んだイベントなどをプロデュースしています。『上杉謙信公祭』では約500領もの甲冑を自社から持ち込み、スタッフ総出で着付けるのは本当に大変でした。でも、一度甲冑を身につけていただくと本物の良さを分かって貰えるんです。
だから、これからも続けていきたいと思っています」と、語ってくれました。

「実際の甲冑づくりが見学できる「甲冑工房」

その他にも、甲冑の素晴らしさを現代から未来へと繋げていきたいとの思いから、「本物に近い兜」を端午の節句に選んでもらえるような新たな事業展開もおこなっています。


多くの人が丸武産業の甲冑に魅せられるのは、『日本人の素晴らしい文化』や『本物』を伝えたい!という、甲冑に寄せた職人たちの強い思いを感じるからなのでしょうか。
[完]