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APPピアレビュー参加者の感想

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APPピアレビューでは、他電力や参加国との意見交換を行うなど、通常の業務にはない貴重な体験を行うことができます。以下にピアレビューへ参加したメンバーの所感をまとめました。

松浦発電所 総括技術室:片山真(日本参加)
片山真の写真 APPピアレビューへ参加依頼を受け、対応として何をどのように準備すればいいのか、大変悩んだことを思い出します。
 他電力との打ち合わせを行いながら、唐津発電所技術課全員の協力のもとプレゼン資料などを作成し、期限に間に合わせることができました。
 ピアレビューでは、設備の区分毎に班を編成し、熱効率を維持するための補修技術について意見交換を行う予定でしたが、時間の都合で説明件名の調整を実施するなどの対応に大変苦労しました。
 また、参加した国に対して通訳を介した説明に予想以上の時間がかかったこと及び自分に語学力がないことで、参加者との交流が十分できなかったことが残念でありました。
 しかし、東京での地域熱供給事業の施設見学並びに東電の常陸那珂石炭発電所見学にも同行・対応することで、電事連として「地球温暖化対策への取り組み」への協力ができ、個人としても貴重な経験となりました。
唐津発電所 技術グループ:丸田 隆(日本/インド/米国/豪州参加)
丸田 隆の写真 この活動は、既存の石炭火力発電所の熱効率維持・向上を目指して、参加各国の電力従事者が協力し合って貢献していくことなので大変意義のあることだと思います。
 もちろん、参加する当事者にとっては、事前準備も含め自国のチームとしての協調も必要ですし、現地では突然参加者の前での発言を求められるなど、いろんな面で要求に応えていかなければならないのは大変ですが、人と人との交流も深まり、人間的にも技術的にも大変刺激になるので、とてもよい経験になりました。
 海外での過去3回のピアレビューで感じたことを熱効率改善という切り口でまとめると、「供給力不足の解消に向け高負荷での継続運転が求められるインド」、「メーカーに頼らない自主運用のため変化(効率改善)に欠ける米国」、「燃料調達の優位性(褐炭:2~5ドル/トン)からそもそも効率改善を考える必要性が薄い豪州」など、どの国も発電することが最優先で熱効率の維持・向上に関してはあまり重要視されていませんでした。
 しかし、このピアレビューで、日本が主体的に提案・作成してきた火力発電に関する運転・保守技術をまとめたグリーンハンドブックや各国の効率改善事例をまとめたチェックリスト及び、提案・実践してきた効率改善評価シートについては、参加者からの要望に応じ、既に200セットを配布するなど、その評価も高まっています。
 また、最近開催された豪州ピアレビューの総括セッションでは、「このピアレビューの成果を自国に持ち帰ってさらに展開すべき」、「韓国や中国など未開催国での開催も早急に継続すべき」、「インドの現場担当者に絞ったピアレビュー技能教育をしてはどうか」などの意見・要望があり、この活動は確実に参加国の皆さんに受け入れられているようです。
 今後もこの活動に継続的に参加し、火力発電所の熱効率維持・向上に向けた当社・皆さんが持つノウハウや経験を積極的に提供していくことは大変よいことだと思います。
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総合研究所 環境・化学グループ:永沼孝之(日本/米国/豪州参加)
永沼孝之の写真 APPピアレビューは、参加各国の発電管理技術者がひとつの発電所を題材に、最も効率的なプラント管理運用法を共有化し、炭酸ガス削減を実現しようとするものです。このような国際的な協同作業に参加でき、今までにない貴重な体験ができました。
 初回参加時は、日本のプラント管理技術を教える立場での参加を考えていましたが、実際に参加し、回数を重ねるごとに、参加各国の技術者の経験や知識の深さを認識するようになりました。
 また、意見交換では、各国の参加者が指摘する改善必要箇所がほぼ同一であり、議論を重ねるごとに、問題意識が共有化される過程に感銘を受けました。
 一方で、文化的な背景の異なる相手に説明をする必要があることから、高い技術レベルが求められ、自分が試されつづけている気がしました。
 コミュニケーションについては、各国の技術者も同じような機器を対象とした知識を有するので、極端な場合、絵を描いて数字で表すだけでも伝わるし、通訳されるので、技術的な内容を伝えることの不自由さはありませんでした。
 日本チームは各電力の寄合所帯で、参加人員が多く、ときに協調作業に困難を覚えました。その中で、電気、機械、化学等の参加者の保有する技術を活用し、保修と管理が協働することで、発電所の効率を向上させることが可能となることを肌で感じることができ、リーダーシップの必要性とチームワークの重要性を再認識しました。
火力部汽力運営グループ:宮本謙一(豪州参加)
宮本謙一の写真 APPピアレビューでは、石炭火力発電所の効率改善という目的に向かって国という枠を超え電力会社等のエンジニア達が協力し合い開催国の発電所における効率改善が可能なプロセスを探し問題解決を行なっていきます。その過程ではそれぞれの国のおかれた状況や経験から意見のくい違いが発生してくることから、相手を尊重し理解し合う重要性を認識することができ、参加できたことは大変有意義であったと思います。
 また、地球温暖化の問題は、新聞やテレビの情報から、本気で取り組んでいるのは、日本だけでしかないような印象を受けていました。しかしながら、APP参加国のエンジニア達は早急に解決すべき課題として取り上げて対応していることに感銘を受けました。
 APPピアレビューは、地道な活動ではありますが、目に見える成果を確実に出しています。日本は、参加国のなかでも発電所の効率を維持管理していく技術は、トップレベルです。今後も発電所を管理していく上で築き上げた日本の技術を広げ、温室効果ガスの削減に向けた国際的な取り組みに参加していくことは大きな意義があると思います。
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火力部汽力運営グループ:竹浪昌孝(米国参加)
竹浪昌孝の写真 私は第3回米国ピアレビューに参加し、タービン関係における効率改善に関し、意見交換を行ないました。その中で、米国の発電所員は、経験豊富な人たちが多く、補修履歴や運転データなどきっちり頭の中に入っていて驚きましたが、効率管理という面からすると、日本のように精細な管理は行っていないという印象を受けました。
 CO2排出量削減への取組みとしての石炭火力の熱効率改善に関し、各国の熱効率維持・向上のノウハウをAPPのような場で共有していくことは大切なことであり、特にインドは、その重要性を認識し、APPにおいても積極的に取組んでいると感じました。
 APP活動では、実際の発電所の設備を見ながら、他電力、他国の人たちと具体的に踏み込んだ内容について意見を交わすことができ、大変よい刺激になりました。
電気事業連合会 工務部(火力担当):古閑 知明(当社より出向、事務局としてピアレビューを担当)
古閑知明の写真 この活動は、「日本の火力発電所の熱効率は、運開後30年経っても設計値に近い値で維持されているのに対し、途上国では、数年で数%も低下してしまう。これは、我々が日々実践している適切な運転・保守管理が行われていないためではないか。もしこれを実践してもらえば、新たな資金を投入することなく熱効率を改善でき、結果としてCO2排出量を削減できるのでないか。」との思いから始めたものです。実際は、各国の参加者は我々にないノウハウ・経験を持っており、日本が先生という立場でなく、同じ目線でお互いを尊重しつつ活動しています。まさに、ピア(Peer:仲間、同僚)レビュー(Review:見直し、評価)を実践している訳です。
 今後もこの活動に継続的に参加をいただき、日頃築き上げたノウハウ・経験を世界に発信してもらいたいと思います。
APPピアレビューの概要についてはこちら